その視点の1つは、可能性の網羅だと思う。情報を出す側が何を意図したか考えずに、とにかく言葉に注目し、それを受け手がどのように解釈できそうか想像することで深く考えることができる。
例えば、TOEICの対策本を眺めると、いろんなフレーズが目に入る。「10日間で150点アップ」を例にしよう。
人々は発信側の意図を想像しがちだ。だから、「きっと10日間だけ勉強すれば150点スコアが伸びるのね」と勝手に解釈するし、発信側はそれを期待しているかも知れない。しかしながら、意図を無視して様々な可能性を考えてみる。
10日間とは何の期間なのか。いつからいつまでが10日間なのか。今日から10日間勉強したら、いつのテストでスコアが上がるのか。10日後に受験するAさんと半年後に受験するBさんに同じことが言えるのか。前に受験してから1年が過ぎているなら「10日で150点アップ」と言えるのか。1年で150点アップではないか。
もちろん、考えること自体がトレーニングなので、実際に人に対して「言う」必要はない。