リーダー格のおっさんが話しかけてきた。
「$%&¥@%$#」
英語だった。日本語が聞こえると予期していたので、完全には理解できなかった。まぁ、そっちが英語ならこっちも英語で話せば済む。予想通り、ジャケットを移動するよう求められたので、応じた。
しばらくすると、リーダーがスマートホンを片手に質問してきた。
Do you know this place?
「やざえもん」という、すし屋の写真だった。先週の木曜と金曜に宿泊したホテルと同じ建物で見つけた店だったので、場所を教えてあげた。
It takes only seven to eight minutes to get there.
実際は10分かかることに後で気づいた。
彼の英語は非常に流暢だった。出身国がどこなのか尋ねなかったが、ほかの3人とは韓国語で話していると判断できた。聞いてみると、確かにその通りだった。
I'm the author of this book.
『不思議の国のグプタ−飛行機は、今日も遅れる』の韓国版をパソコン画面に出して教えてあげた。すると、「韓国に戻ったら買う」とリーダーは言う。ま、本当かどうかはともかくとして、そう言ってくれるのは嬉しいものだ。
20秒くらいして、スマホを手にしたリーダーが話しかけてきた。パソコンを撮影したいとのこと。
I will buy this book.
どうやら本当に買ってくれるらしい。忘れないように撮影してくれた。
お互いが英語をそれなりに使えたので成立したコミュニケーションだった。そういえば、先週、タコライスを食べた店でも英語が役に立った。マレーシアから来ていた女性が店員と会話できずに困っていたので英語で話しかけてみたら、彼女はスラスラと英語を話した。
共通語が英語である必要はないが、英語が外国人との共通語として機能しやすいのは間違いないだろう。日本人みんなが英語を使えるようになる必要は今はまったくないと思うが、仮にその能力がみんなに備わっていれば、外国から日本に来る人々に、小さい貢献をよりたくさん与えることができるようになると思う。